克の男バーガー日記(最終回) 2003.3.10

マクドナルドのハンバーガー。
これほど創造力を刺激する食べ物が他にあろうか。

21世紀。
日本は不景気の真っ只中でその幕を開けた。
暗黒の時代は地位、金、名誉、ありとあらゆるものをもぎ取っていく。
人々は雨水を飲み草の根をかじった。
かつて人類が夢見た輝かしい21世紀は、見るも無残で残酷なものだったのである。

そこにいるのは鉄人アトムやドラえもんではなく、テロリストや血の好きな指導者たちであった。
絶望の淵に立たされた人間達に残された最後の希望。
それがマクドナルドのハンバーガーである。

デフレーションなどの理由により急落したその値段は今や59円。
すさんだ21世紀は、その存在のおかげで徐々に光を取り戻してきたのである。



激動の21世紀を生きる克は、その救世主ともいえるハンバーガーを用いてさまざまな食べ方をしてきた。
ハンバーガーに市販のスライスチーズを挟んだ自家製チーズバーガー、ハンバーガーの肉2枚とスライスチーズを2枚を一組のパンズに挟んだ自家製ダブルチーズバーガー、そしてケチャップだけが挟まれた爆笑パン。
詳しくは克の大実験日記を参照されたい。

その中でも俺は、自らが考案し名づけた「爆笑パン」に絶対の自信を持っていた。

俺が誇らしげに爆笑パンを掲げていたある日。
あるネット友達が衝撃的な一言を洩らした。


















「爆笑バーガー食べたことあるよ。」













あろうことか俺が考案したと思っていた爆笑パンは、それ以前にすでに存在していたのだ。
それだけではない。
もう一度その衝撃の一言を見ていただきたい。
目の穴をかっぽじってよく見ていただいきたい。















「爆笑バーガー食べたことあるよ。」















なんということであろうか。
すでにその友は爆笑パンのことを爆笑バーガーと呼んでいたのである。
捨て犬を拾って「レモン」と名付け可愛がっていたところに本当の飼い主がやってきて「ポチ!」と呼ばれたようなそんな気持ちだ。

しかし悲劇はそれだけでは終わらなかった。
その友が爆笑パン(バーガー)を食べたのは、それを食べることが目的ではなかったのだ。
あくまでそれは「メガマック」というビックマックの肉増量バージョンを作り上げたときの副産物であったのだという。
彼女はそのとき、8枚もの肉を挟んでいたらしい。

恐るべきパワー。企画力。創造力。



マック加工職人の第一人者としての地位を確固たるものにしたと思っていた矢先の出来事であった
悔しい。
ここで引き下がるわけにはいかない。
そう。男として。

もっとインパクトのある。そして有意義な食べ方を考えてみせよう。

そう決意したとき、俺にある考えが浮かんだ。
『挟む』などという小手先だけの加工の時代はもう終わった。
これからは豪快に、大胆に『重ねる』時代だ。

俺はさっそくハンバーガー2つを買ってきた。
そしておもむろに片方のハンバーガーをもう片方のハンバーガーの上に乗せてみた。

男バーガーの完成である。


どうだまいったか。
これが男バーガーだ!!

これが俺の男気だ!!!!


































・・・何やってるんだろう俺。

ぺちゃんこのハンバーガーが2つ、さらにぺちゃんこになって重なっています。
そのままかじりついてみました。

うん。
ハンバーガーを2つ重ねることによって、ここまでハンバーガーの美味しさが失われるものだとは思わなかったよ。
なんか臭いパン、て感じだったな。

二度とハンバーガーは重ねないよ。





今日は一緒に『ドナルドビスケット』てのも買ってみました。
昔じいちゃんが鯉にあげてたクッキーの味がしました。







本当はビックマック2つで男バーガー作りたかったけど予算の都合上ハンバーガーになったのは内緒です。