克のユタカ日記(最終回) 2002.2.28

昨日の出来事を今日の日記に書くというのは、一般にはあまり行われることではありません。
ですが、今回ばかりは勘弁してください。

昨日午前11時頃、もちろんいつもは寝ている時間です。
携帯で目覚ましをかける習慣のある俺は、寝ているときに携帯が鳴ると反射的に切ってしまう癖があります。
ですからもちろんそのときも、けたたましく鳴る携帯の電源をすぐに切ったのです。
そして時間を見ると、なぜか起きるにはまだ全然早い時間。
眠たかった俺はよく考えずに、再び寝ることになるのですが・・・。
さすがに4度もそれが繰り返されると、電話と気付かないわけはありません。

しかたなく俺は電話に出ることにしました。






「もしもし?」






かつどん、かったん、ドン、かつ、かっちん、かっつん・・・etc
昔から色々なあだ名で呼ばれることの多かった俺ですが、そう呼ばれたのは生まれて初めてでした。






「ユタカ?」






可愛らしい女性の声でした。
これを読んでいる人の中には、俺の本名を知っている人も何人かいるでしょう。
でも、知らない人にも言っておきます。

俺はユタカじゃありません。

会話の続きはこうでした。

俺「え?」
相手「ユタカ?」
俺「どちら様ですか?」
相手「え。・・・ユタカ?」
俺「だ、誰?」
相手「ユタカ?」
俺「違いますけど・・・」
相手「あ、すいません。間違えましたぁー」


出る前に確認しておけばよかったけど、そういえば知らない番号でした。

頻繁に起こることではありませんが、昨日はあまり気にとめず日記に書くこともしませんでした。


だけれども、今日、今度は午後2時頃、1本の電話がかかってきたのです。

しかも非通知で。












「ユタカ?」








俺「違いますけど(笑)」

相手「あ、すいませんー・・・」



昨日と同じ女の子の声でした。
少し申し訳無さそうな『すいません』でした。
なんだか可愛らしかったので、つい笑ってしまいました。

でもごめんなさい。
俺、ユタカじゃないんです。




今はもう夜中。
あの子はユタカさんと連絡取れたかな。
明日はかかってこないといいな。

でもかかってきてもいいな。