克のチャレンジャー日記(最終回) 2002.4.29

心臓が著しく高鳴っていた。

読みたくもないヤングジャンプを開き、コンビニの雑誌コーナーでチャンスを伺う。
まだだ。
まだ駄目だ。

俺は全神経をお菓子売り場に集中させていた。




昨夜日記を更新した後、ある話をしてくれた友人がいたのだ。
その人は『さぱり』という3Dチャットで知り合った女性なのだが、話によると彼女の家にはおもちゃのカンヅメがたーくさんあるらしい。
彼女曰く、エンゼルを当てるにはコツがあると言うのだ。
ネット上でしか交流手段を持たない彼女からは、詳しくそのコツを伝授してもらうことはできなかったが
必要最低限のことは聞くことができた。

ここだけの話、エンゼルの描かれたパッケージはそうでないものよりわずかに色が濃いらしい。

まったくすごい話がタイムリーに俺のところに転がり込んできたものだ。




そういうわけで俺は今、暖かい日差しを尻目にコンビニで胸を高鳴らせているのだ。

まだお菓子売り場には他の客がいる。
20歳にもなる青年が、お菓子売り場でチョコボールの選別なんて恥ずかしくて人前でやれるわけがない。
お菓子売り場から人がいなくなるまで雑誌を読みつづける。
それが青年克のとった作戦であった。

かつて、盲目の数学者モランは、容易に4次元空間を想像できたのだという。
我々が視覚によって得る情報は、あくまで2次元平面であり、そこから3次元空間を認識(想像)している。
モランは世界をまったく3次元で捉えていたというのだ。

俺の神経はモランに近づいていたのかもしれない。
ヤングジャンプから目を離さずに背後の情報を感じ取る。
あ、でもモランはヤングジャンプ読めないか。
面白いのになぁヤングジャンプ。
1回も読んだことないけど。


そうこうしているうちにお菓子売り場から人がいなくなった。
すかさずヤングジャンプをその場に置き去り、チョコボールを求めてお菓子売り場に走る。

いつまた売り場に人が来るかわからない。
また、レジのバイトの人も不審な動きには敏感なはず。
仕事は敏速にかつ正確に行わなければならない。
べつに万引きするわけでもないのに、小心者克の心臓はバクバクなのでした。

お菓子売り場に辿り付き、キョロちゃんを探す。
探すのに時間がかかり焦る。

焦るな克。
ここまではなんら不自然な動きはしていないはずだ。
この中に色黒なキョロちゃんが混じっているんだ!!!!!

素早くチョコボールの箱をいくつか取り出し、見比べてみる。






・・・・・・。







全然わからなかったので適当に3つ選びました。
1コ当たってました。
もう諦めようかな・・・。














今日は午後にサッカーのキリンカップがやってました。
それをテレビでぼんやり見ていると、ふとマックリブが食べたくなりました.

きまぐれな克ですがどうぞよろしく。

そんで、適当に携帯メールで2人くらいにアンケートを取ってみました。
「マックリブってうまいかな?」っていう内容だったと思う。

一人目の反応
「否」

二人目の反応
「味濃かった」


二人とも否定的なお答え。
どうしようかなぁ、と悩みました。

そんなとき、俺の心の中で天使と悪魔が囁きました。


天使:
自分の意見を簡単に曲げちゃダメだよ!
食べてみたいと思う自分に素直にならなきゃ!
それに景気回復のために、少しは消費しようよ!


悪魔:
克よ。お前はひねくれ者だろう。
他人が不味いと言えばなおさら食べたくなるはずだ。
さあ食え。
食って美味いと言ってやれ!!!!


克「そうだよね」
天使「うん
悪魔「うんうん

全員一致で食べることになりました。


久しぶりにファーストフードなんて食べたので、非常においしく感じられました。

どれくらい美味しかったのかというと、月のカンヅメが当たるなら毎日でも買ってしまいそうなくらい。