克の寂しい昼休み日記(最終回) 2002.5.17

今日のお昼の話をする前に、ある報告をしなければなりません。

ここ最近、金もしくは銀のエンゼルを求めて毎日チョコボールを買っていました。
それも一日に3コほど。
どうしても月のカンヅメが欲しかったのさ。

そうして買い続けているうちに、様々な噂に踊らされながらも銀のエンゼルは溜まり、ついに昨日5匹集まったのです。
もう買わなくていい。
もう食べなくていい。

待ち望んでいたことが実現し、レポートも書き終わり、キムチを食べて眠りについたのが昨日の出来事でした。




そんなわけで、これからは無理に出費を抑えながらもチョコボールを買ったりしなくてよくなったわけです。
これまでの俺のお昼休みの過ごし方はこうでした。
学生生協(売店みたいなところさ)でチョコボールを一つだけ買い、少しクールな顔をしてむきだしでそれを持ち歩き、次の授業の教室で1人静かにキョロちゃんと対面する。
その間友人達は俺を置いて学生食堂でエレガントな昼食をとっていたのでした。


今日の昼に、もうそうする必要が無いんだとわかったとき、俺は長い昼をどう過ごせばいいかわかりませんでした。
友人達がぞろぞろと食堂に向かうので、なんとなくついていってみることに。

人ゴミが嫌いなのと、お金が無いのとで、なかなか訪れる機会の無い食堂です。
230円の「カレー南蛮うどん」というのがあったので、それを食べてみることにしました。
食券を買い、それを出しながら「カレー南蛮うどん」と言えば、ブツが手に入る仕組みのようです。

毎日食堂に来ている学生には当たり前の行為なのかもしれませんが、俺にとっては試練ともいうべき存在なのです。

列に並びながらドキドキしていると、俺の番がまわってきました。



克「カレー南蛮うどん」

おばちゃん「・・・・・・カレー南蛮!」



え。なに。その一瞬止まったのは何。
数秒の沈黙が最初にあったのは何!!?
長い名前を略さずに言ったから!?
俺がルーキーだから!!?

そんなことを思っているうちに、おばちゃんは素早く動作に移っていました。





べちゃっ。

どちゃっ。




麺、カレー、の順におばちゃんが乱暴にどんぶりに入れました。
あぁ、やっぱり人ごみが嫌いってのもあるけど、食堂のこの配給っぽい感覚がどうしても好きになれない。
小・中学校で食べていた給食も同じ理由で好きになれなかったのを思い出しました。
嫌な少年だったんだなァ。

無事カレー南蛮うどんを手に入れた俺は、友人達に囲まれながらそれを食べるのでした。
見本より肉が少なかったけど、それなりに美味しかったです。



その後、俺以外の人はレポートをいじるというので、コンピュータのある教室に行ってしまいました。
俺はすでにレポートを出していたので、ついていくのもためらわれ、こっそり次の授業の教室に先に行っていることにしました。。

はぁ・・・。
なんだろうこの物足りない感じは。
1人で教室に向かっているから?
いや、そんなのもうとっくに慣れてる。

教室につくと、そこで行われていたお昼前の授業がどうやら長引いていたようで、数人の学生と院生がまだ残っていました。(院生さんは、授業で先生のサポートをしたりするのだ)
どうやら他学科の授業だったらしく、俺が察するに『この問題が解けるまで帰れない』というシステムで行われているようでした。

授業そのものは終わっていたので、俺は席に座り、仮眠をとることにしました。



院生「ルートf(x)の微分は?」

学生「あ、えーっと・・・」




何を悩んでいるのかと思えばただの微分か・・・。
あー早く帰ってくんないかなー。
さっき買った紙パックのジュースをちゅるちゅるやりたいんだけどなー。
来る途中にほとんど飲んじゃったけど、最後のちゅるちゅるが好きんなんだけどなー。




院生「そうそう。それでいいよ」

学生「は・・・。ありがとうございます」

院生「受験のときつらくなかった?(笑)」

学生「数学は苦手だったんで。英語は好きだったんですけど」

院生「英語好きなんだ。じゃあTOEICとか受けるといいよ。TOEICはね・・・」




などという会話をしながらやっと出て行きました。
TOEICは・・・なんだったんだろう。
聞き取れなかったけど、まさか俺が聞きなおすわけにもいかないし・・・。


まぁいいか、と思い、静かな教室で1人ストローをくわえてちゅるちゅる。



ズ、ズズズ・・・



もはや甘い液体が俺に流れてこなくなったので、それをゴミ箱に捨てました。



やれやれ・・・
キョロちゃんのいない昼ってのはこんなにも寂しいものか。