克の爆弾日記(最終回) 2002.4.16

今朝学校に行くと、友人Dから一本のゲームソフトを手渡された。
プレイステーション2用のゲームソフトで「ボンバーマンカート」と書いてある。


D「隠しキャラとかコースとか出しといて」


どうやらこのゲームは、ある条件を満たすと使えるキャラクターや選択できるコースが増えるらしい。
パッケージにはコミカルなキャラクター達が車に乗ってレースをしている様子が描かれていた。
友人N、A、Dの3人はよく俺の家に来て一緒にゲームをすることがあるので、そのときのためにボンバーマンカートをより楽しめる環境にしておけとのことなのだろう。

学校に行っていると、たまにこういう未来に繋がらない宿題が出たりする。


とにかく帰って少しやってみることにした。


説明書を開くと、可愛らしいキャラクターの紹介がまず目に飛び込んできた。
この中から俺の分身となるのを1人選ぶらしい。

一番最初に書いてあったのは「しろボン」



 ↑こんな顔

しろボンには
「すっかりおなじみ、熱い正義心と勇気を持つボンバーマン」
との説明があった。

そして、そのすぐ下に書いてあったのが「くろボン」



 ↑こんな顔

なかなかにステキな面持ちをしてらっしゃるので、俺は迷わずくろボンを選びさっそくゲームを始めることにした。
くろボン克の誕生である。


キャラクター選択も終わり、レースが始まった。

ひねくれものの克としては、まずコースを逆走してみずにはいられない。
他のレーサー達が一斉に走りだすと同時に、くろボン克は張り切ってUターンし始めた。

すると画面上部にこんなメッセージが。




「はんたいだよ!」




知ってるよ!
このメッセージといい、ゲームの雰囲気といい、どうやら対象年齢は低いらしいことがわかる。
最近の小学生がどんなゲームをするのか、大人であるくろボン克が見極めてあげることにした。



レース中では、コース内で拾うことによってアイテムを手に入れることができるようだ。
そのアイテムは、爆弾、ミサイル、誘導ミサイル、などなど、いずれもくろボン克に相応しい物ばかり。

くろボン克はミサイルを手に入れ、それを敵レーサーに向かって発射してみた。
見事命中!
敵レーサーは派手に大空に吹き飛んだ。
するとその瞬間、画面のくろボンは無邪気に喜ぶようなアクションを見せた。
さすがくろボン。
その狡猾かつ残忍な顔とアクションから、彼はしろボンの敵役だということが見て取れる。

きっとしろボンはこんなアクションはしないんだろうなー、と思いながらレースを続けていると
順調に順位を上げてきたくろボン克は、前を走る噂のしろボンに追いついたようだ。

ぴったり彼の後ろにつけ、抜くチャンスをうかがうくろボン克。

すると突然、しろボンは自分の後ろに爆弾を置いたのだ。
真後ろを走っていたくろボン克は避けることができず、激しい爆発と同時に空を舞った。

主人公でも勝負には厳しいのだな・・・。
最近の小学生はたくましく育っているようだ。

そんなことを思いながら画面に目をやると、なんとしろボンが無邪気に喜んでいるではないか!!
どうやらあのアクションは、適役であるくろボン固有のアクションではないらしい。

たしか彼の説明には
「すっかりおなじみ、熱い正義心と勇気を持つボンバーマン」
とあったはず。

なるほど、これがゆとり教育の現状か・・・。





何度かレースをしていると、ピンク色をした女の子キャラがやたら1位を取ることが多いことに気付いた。
名前「ピンクボン」かな?
と思って説明書を見てみると、彼女の名前は「プリティボンバー」であることがわかった。

おそらく彼女はこのゲームのアイドル的存在なのだろう。
きっと主人公であるしろボンといちゃいちゃしたりするのだ。

そのヒロインであるプリティボンバーに、くろボン克は一向に勝てないのであった。
主人公が取るべき場所であるくろボン克のライバルの座。
そこにはどっしりと腰を据えたプリティボンバーの姿が。

その姿はまるで、ドラえもんの代わりにお腹からあらゆる道具を取り出すシズカちゃんそのものだ。

フェミニズムもここまでくると、さすがに見苦しさを隠せない。

男の尊厳を取り戻すためにも、ここは一つくろボン克がプリティボンバーに勝ってほしいところだが・・・。
どうやらなかなか難しいようだ。










P.S(←ポストスクリプトの略らしい)
今日帰りに図書室に寄って結び目理論の本を少し読んでみました。
「結び目は2次元空間では十分な広さがなくて作ることができなくて、4次元空間では広すぎてまともに作られた結び目は全てほどけてしまう」という内容を読んだとき、体が震えてしまいました。