克のたまねぎ日記(最終回) 2006.12.11
彼がたまねぎ形の体を揺らしながらその道を歩いていると
茶色い布をまとった細長い男が立っているのがみえた。
「わたしは終わりの神。わたしがいないと物事は終わりを迎えることはない」
男が彼に話しかけ、彼はそうですかと言った。
「何事も終わりがないということは都合の悪いものだ」
なるほどそうかもしれないと思いながら彼はたまねぎ形の体を揺らした。
だが同時に今終わっては困るとも思った。
「あの、ぼくたまねぎなので」
「それを早く言いなさい」
彼は男を振り返らずに道を急いだ。