克の泣き虫テントウムシ日記(最終回) 2005.7.5

ある草原に小さいけれどとてもかわいらしいテントウムシが住んでいました。
テントウムシは草原の人気者で、とくにお父さんテントウムシとお母さんテントウムシからは
触覚に入れても痛くないほどかわいがられていました。

テントウムシには夢がありました。
草原から遠く離れたあの森に行きたい。
森には多くの動物、虫、植物、光、闇、ダニ、ゴキブリ、ホコリ、ハウスダスト、ハウスシック症候群などが住んでおり、 いつも賑やかでテントウムシには輝いてみえるのでした。

テントウムシが森に憧れる理由はそれだけではありませんでした。
森にはこの世に1匹しかいないという不思議な生き物が住んでいたのです。
いつかその生き物によじのぼり、てっぺんからブーンと飛び立ってみたい。
テントウムシはその生き物の不思議ぶりに惹かれていました。


ある日、その不思議な生き物は不思議なので、不思議なことに草原にやってくることになりました。
不思議なことにテントウムシはその知らせを受けていたので、早起きをして待ち伏せすることにしました。

ところが不思議なことは重なるもので、不思議なことにテントウムシは寝坊をしてしまいました。
それでもなぜかその後2匹は楽しく遊ぶことになるのがまた不思議なものです。

不思議な生き物はテントウムシに不思議な話をいろいろ聞かせました。
不思議な話はテントウムシには難しかったけれど、テントウムシは嬉しそうに背中をつやつや光らせながら聞いているのでした。

テントウムシはお父さんテントウムシとお母さんテントウムシに不思議な生き物のことを話したいのですが、
そんなことをしたら不思議な生き物があんまり不思議なので触覚に入れられてしまいます。


2匹の楽しい時間は過ぎ、とうとう不思議な生き物が森へ帰るときがやってきました。
テントウムシは一緒に森へ行きたいと言いました。
テントウムシの目から光るものがこぼれ落ちていきます。
不思議な生き物はだまってテントウムシの頭をなでました。
ところが不思議な生き物の手は大きく不思議な形をしているのでうまくなでることができません。
それでも不思議な生き物は手を休めませんでした。
テントウムシの目からはさらに涙がこぼれます。
それが世界中に広がって今ではドロップス。

一方その頃森ではクマが白い貝殻の小さなイヤリングを全力で引きちぎっていましたがそれはまた別のおはなし。
クマ「ぬおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」