克の深夜の大冒険日記(最終回) 2003.3.9

ええと、何から書き始めればいいのだろう。
とりあえずテンションが少しばかり高い感じ。

事の発端はこうです。
いつものようにネットでMSNメッセンジャーというコミュニケーションソフトを用いてネット友達とチャットを楽しんでいました。
克日記掲示板のアイコンの虎を描いてくれたアサさんというネット友達がその相手です。

アサさんがしきりに「イチゴTOPPO美味しいよ」と薦めてくるので、思わず即座にコンビニへ行き、買ってきてしまいました。
燃焼系アミノ式とかいう飲み物も買いました。

その後イチゴTOPPOを食べた後に何気なく体重計に乗ると、なんと体重が増えているではありませんか。
春休みに入ってからだらだらくにくにした生活を続けていたので無理もありません。
そこで俺はダイエットのために外を歩いてくることにしました。
俺の稚拙な知識によれば、有酸素運動で脂肪を燃やすには15分〜20分以上続けないといけないはずです。
少し見栄を張ってアサさんに
「1時間も歩いてくればいいよね」
と問い掛けたところ
「いいね」
と返ってきてしまったので、やむなく1時間のウォーキングをすることになってしまいました。



どこか適当に歩いて30分くらい経ったら引き返してこよう。

そう思って深夜0時15分頃、家を出発しました。

さてどこをどう歩いたものか。
少し考えて、俺はいいコースを思いつきました。
川沿いコースです。

俺の家の近くには少し大きい川が流れてて、その川沿いにはどこまで続くともしれない小さな道があるのです。
いつもいつもその道を見ながら「いつかこの先に行ってみたいなぁ」と思っていたので、これほど好都合な機会はありません。

問題があるとすれば、真っ暗なこと。
数時間前までは雨が降っていたので、空は曇り、星も月もきれいには見えませんでした。

ですがそこは「夜の妖精」の異名を持つ俺のこと。
そんなのまったく気にしません。


アサさんが
「もりもり歩かないとダメだよ」
みたいに言っていたので、暗闇の中を俺はもりもり歩き始めました。

道とは言っても田舎の川沿いの小さな道なので、外灯なんか1つもありません。
頼りになるのは向こう岸にぽつぽつ見える民家の明かりだけ。
夜って暗いんだなぁ・・・とか思いつつもりもり歩きます。


10分ほど歩いたところで、ふくらはぎが限界を訴え始めました。
アサさんがもりもりだなんて言うから俺は本当にもりもりと、かなりの速さで歩いていたのです。
ゆっくり走る自転車くらいは出てたんじゃないかな。


だけれども1時間歩くと決めた手前、10分で引き返してくるって男としてどうなの?
そう思った俺はまたずんずん進んでいきました。


もうしばらく歩くと暗闇に目もすっかり慣れ、それなりに周りの様子がわかるようになってきました。
もともと田舎な我が町ですが、歩くにつれてどんどん田舎になっていきます。
畑や林、草原(?)、小高い丘、廃屋などなど、新しい景色がいっぱい。

やばい。楽しい。・・・帰りたくない!

ダイエットという趣旨は今では一変し、こみ上げる冒険心が俺を駆り立てます。
幼い頃にドラゴンクエストなどのゲームで冒険者の気分を味わっていた俺は、21歳にして本当の冒険者になることができました。(アリアハンのお母さん、見てる?)


気がつくと、あれだけ痛かった足の痛みが消えています。
そうか。
ついにスーパーサイヤ人になっちゃったか。




歩き始めて30分経ちましたが、楽しいので引き返す気になれません。
ここで引き返せば帰りの時間と合わせて約1時間歩いたことになりますが、そんなことは今の俺にとってはどうでもいいこと。

ぐんぐんぐんぐん進んで行きます。

しかしそうは言っても帰らないわけにもいきません。
次に何か目印を発見したらUターンしよう。
そう決めてまたひたすら歩きました。

というのも、歩けど歩けど見えるのは橋と森と廃屋くらいなので、自分がどのへんまで歩いてきたのか全く分からない状態だったのです。
どれくらい歩いたのかなぁ。
このスピードだしな。
だいぶ歩いたよな。
時速8kmで歩いてるとして4〜5kmってとこかな。
・・・いやもっとかな。

何を考えても憶測にしか過ぎません。
何か地名の書かれた看板(ライトアップ付きの)があればわかるのですが・・・

そんなとき、ようやく俺は目印となるべき地名入りの看板を見つけることができました。
歩き初めてから2つめの大きな橋に続く道路の先にありました。
さて俺はどこまで歩いて来たのかな。ワクワク。














「新潟運輸」
















・・・ハハ。まさかね。

結局どのへんまで歩いたかはわかりませんでしたが、そこで引き返すことにしました。
0時56分。
家を出て歩き始めてから41分が経過していました。



暗闇の中を小さな水の音と共に1人歩く。
もう最高でした。
途中で、隣に女のコでもいれば楽しいだろうなみたいにガラにもないことを一瞬考えたりもしましたが、気のせいです。


デジカメでも持ってれば途中で見た廃屋とかいろんな景色とか撮ってまわりたかったです。
でも高いもんねデジカメ。
でもあんなに暗くて遠くてフラッシュたいてもうまく撮れるもんなのかな。

廃屋はだいたい距離にして50mくらい離れてたから、フラッシュが廃屋に当たって跳ね返ってくるまで2×50÷(3.0×10^8)秒。
うん。ちょっとでも考えた俺がバカだった。
速さに問題があるわけ無いね。
すぐに気付いてよかった。

でもあれだよね。
宇宙が誕生してから10^(-44)秒の間は宇宙は10次元だったっていうしね。
めちゃんこ高いエネルギーで、4つ(強い力、弱い力、電磁力、重力)全ての力が同じだった世界ね。
それに比べれば2×50÷(3.0×10^8)秒なんて長すぎるね。

最近超ひも理論の本を読み終えたので、そんなことも考えながら歩いてました。




1時38分。
無事家に着きました。
行きは41分、帰りは43分。
よくもまぁこれだけペースを保てて歩けたもんです。

家の前で足を止めると、今まで感じなかった足の痛みが違和感となって急激に襲ってきました。
早く家に入ってマッサージしないと、せっかく今日の冒険でレベルが6くらい上がったのに、明日には筋肉痛でレベルが700くらい下がることになってしまいます。
3歩進んで350歩下がっていたのでは幸せなんて到底つかむことはできません。


あらかたマッサージを終え、体重計に乗ってみると、驚いたことに2kgくらい減っていました。
燃焼系アミノ式のおかげかどうか知りませんが、ほんの84分必死に歩いただけで2kg減。
これは驚くべき結果だね。

その後あまりにお腹が空いたので牛乳を1g飲んだら1kg増えてたけど当たり前だね。




うわ。ちょっとビックリ。
今地図でどのへん歩いてたのか調べたら、あとちょっと歩けば茨城まで行けてたことが判明!!
いつかデジカメ買ったらもっかい自転車で行ってこよう。

そして見るもの全てがひもに見えたりしながら廃屋の写真でも撮ってきます。



だから誰かひも理論が超ひも理論になるための超対照性について詳しく教えてください。
物理科とか数学科の友達が欲しいそんな夜でもありました。




痩せたい人は深夜に川沿いを歩いてみるといいかもね。